「音楽の都ウィーン」。 クラシック音楽ファン憧れの町ウィーン。 しかし私の場合には少し違った。 最初に訪れた1971年夏に、薄暗いというかうす汚いと言う印象を持ってしまい、1974年に再び訪れた時にもその印象を払拭することは出来なかった。 その結果わずか1泊して国立歌劇場で「仮面舞踏会」1本を見ただけで他の町へと去ってしまい、その後もウィーンを訪れたいとはほとんど思わず月日が流れてしまった。
ひょっとするとその薄暗いというかうす汚いと言う印象は最初に泊まった安宿の印象から来ているのではないかと、またそのとき見たシューベルトの怪しげなオペレッタのせいではないかと、2001年初冬ウィーン再発見のために訪れることにした。

 ウイーンの公共交通機関  旅のヒント
 公共交通機関のチケット  ウィーン国立歌劇場
 カフェ  フォルクスオーパー

Strassenbahnウイーンの公共交通機関

他のヨーロッパの主要都市同様、ウィーンの公共交通機関がよく発達しているのはありがたい。 まず路面電車=トラム Straßenbahn (右写真)だ。 ウイーンの中心部を一周するリング通り Ring を走る1番と2番の路面電車はウィーン国立歌劇場に行くときは大変便利だ。 ちなみに1番が時計回り、2番が反時計方向に走る。 ただし1番、2番は時刻表に忠実のようで、しばしば停留所で時間待ちをする。 開演時間が迫ったときに乗ると時間待ちでいらいらしたり、最悪のケースでは間に合わないことになってしまうので、余裕を持って乗る必要がある。 リング上のショッテントーア Shottentor からは40,41,42番でフォルクスオーパーへ、おなじく38番に乗れば終点がホイリゲで有名なグリンツィング Grinzing だ。 シェーンブルン宮殿 Schloss Schönbrunn へはウイーン西駅から58番といった按配で大変利用価値がある。
地下鉄 U-Bahn もよく発達しており、地上を走る区間も多い。 フォルクスオーパーへはU6が便利で確実だ。 地下鉄の良いところは大変本数が多く、早いと言うことだ。
その他バス、国鉄の近郊電車 S-Bahn がある。 なおこの「S」は Straßen ではなく Schnell のアブリビエーションだ。 

公共交通機関のチケット

路面電車、バス、U-Bahn、S-Bahn の1回券は現在1.30ユーロ。 ただしトラムとバスの車内で購入する場合の料金は1.60ユーロ。 このチケットはゾーンを超えて乗車することは出来ないが、乗り換えはOKである。 旅行者には10.90ユーロの「72-hour ticket」がお奨めだ。 これはゾーン100 Zone 100 と呼ばれるエリア内なら72時間自由(ナイト・バスはだめ。)に乗り降りでき、9回以上乗れば元が取れる。 その他4.30ユーロの「24-hour ticket」、21.80ユーロの「8-day ticket」等豊富だ。 後者は1日毎の回数券のようなもので、長期に滞在する場合には大変有利だ。 11.20ユーロの「Weekly travel pass」は月曜から日曜まで有効のチケットで、このような日程でウイーンを訪れる場合には一番割安となる。
さていずれのチケットも最初に使う時には必ず刻印機で乗車日時を刻印する。 これをせずに乗車をしているのが発見されると無賃乗車とみなされ罰金を取られる。 なお「8-day ticket」は乗車日毎に刻印が必要だ。
その他に「ウイーン・カード Wiener-Karte / The Vienna Card」という15.25ユーロのカードがある。 これは上記の「72-hours ticket」に博物館等の割引券がセットされたものだ。 2001年に私はこれを購入したが、オペラ鑑賞主体の滞在では使い切れず、「72-hours ticket」を購入し、割引なしで博物館の入場券を購入したほうが賢かった。

Oberlaaカフェ

ウイーンのカフェというと生クリームの乗ったウインナー・コーヒーを思い起こされる方が多いと思うが、これは誤った情報といってよいだろう。 まずウイーンっ子の最も好むコーヒーはメランジェ Melange と呼ばれるもので、泡立てたミルク入りのコーヒーである。 ブラック・コーヒーはそのものずばりのシュヴァルツァー Schwarzer、泡立てないミルク入りがブラウナー Brauner と呼ばれる。 この2つはモカ Mokka と言っても通ずる。 エスプレッソやカプッチーノも好まれる。 日本で言うウインナ・コーヒーに近いものはアインシュペーナー Einspäner と呼ばれ、グラスに入ったコーヒーの上に生クリームが乗せられたもので、それほどポピュラーでない。
ウィーン子は1杯のコーヒーで何時間もカフェに居座るとよく言われるが、本当だろうか。 都心部のこぎれいなカフェは旅行者に占領されているためか、なんとなく長居は居心地が悪い。
カフェで忘れてはならないのがケーキだ。 もっとも有名なのはザッハー・トルテだろう。 ザッハー Sacher やデーメル Demel に入るのはいかにもおのぼりさんという感じがするので敬遠して、国立歌劇場近くのオーパラー Oberlaa (右写真)という店に入ってみた。 ケーキはすこぶる美味で、おまけに若いウェートレスも感じが良いのですっかりこの店が気に入ってしまった。 カフェはお茶とお菓子だけの場所ではなく、朝食や昼食を出すところも多い。 朝食は普通ホテルより格段に安く、昼のランチもすこぶる安いので利用価値は大いにある。

旅のヒント

スーパー ウィーンのお土産として最もポピュラーなものはモーツアルトのチョコレートだろう。 チョコレートをはじめ食料品を土産とするならやはりスーパー・マーケットで購入するのが賢い。 国立歌劇場の近くではANAグランド・ホテル隣接のリンクシュトラーセンガレーリエン Ringstraßengalerien 地下のビッラ BILLA がお奨めだ。 きれいな店で商品の点数も豊富だ。 ビニールの袋は無料でないので、何か袋を持っていくか、レジに行く前にかごの中に入れておく必要がある。 レジまで行ってしまうと袋なしで買い物をするはめに陥ってしまうので注意が必要だ。 また日本から持っていったクレジット・カードでは支払いが出来ないので現金の持参が必要だ。 カートは鎖でつながれており、コインを入れることにより使用可能となる。 使用後に所定の場所に戻し鎖をつなぎ直すとコインは戻ってくる。
お土産 お土産としてカフェでケーキを買うのはチョコレートより気が利いている。 ただし日持ちを聞いてから買おう。
ホテル ウィーンのホテルは比較的高い。 2001年11月には確か1泊110ユーロほどと他と比較して安かったのでヒルトン・ヴィエンナ Hilton Vienna に泊まった。 ここはウィーン・ミッテ駅 Wien Mitte Landstr. の向かいで、1階がシティー・エア・ターミナルと交通の便はよいが、設備が古い。 特にエレベーターはひどかった。 しかし室料を調べてみる価値はあろう。